家の中ではすでにダウンジャケットを着て過ごしている小川準一郎(オガジュン)です。
唐突ですが、「先生」って何でしょう? あなたは先生ですか?
- 学問や技術・芸能を教える人。特に、学校の教師。また、自分が教えを受けている人。師。師匠。「国語の―」「ピアノの―」
- 教師・師匠・医師・代議士など学識のある人や指導的立場にある人を敬っていう語。呼びかけるときなどに代名詞的に、また人名に付けて敬称としても用いる。「―がたにお集まりいただく」「―、お元気ですか」「鈴木―」
- 親しみやからかいの意を含めて他人をよぶこと。「ははあ―今日は宅 (うち) に居るな」〈漱石・彼岸過迄〉
- 自分より先に生まれた人。年長者。
※ 4が原義
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と、定義されています。
療法士、患者様、養成学校の学生
それぞれの立場で「先生」について考えてみます。
療法士は先生?
「指導の立場にある人」なので、リハビリの訓練を受ける患者様、養成学校の学生にとっては先生であると言えます。
患者様は先生?
「自分より先に生まれた人」「年長者」である場合は自分にとっては先生になります。私の場合、患者様の多くはこの場合の先生です。
敬わなければならない理由はここにあり、療法士も専門技術だけでなく、人生の先輩に学ぶことはたくさんあります。
養成学校に通う学生は先生?
先生ではありません・・・が、教師から養成学校に入り、療法士を目指す人もいます。
そこで、教育についても考えてみます。
教育とは?
- ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能の教授、人間性の涵養 (かんよう) などを図り、その人のもつ能力を伸ばそうと試みること。「―を受ける」「新入社員を―する」「英才―」
- 学校教育によって身につけた成果。「―のある人」
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療法士は患者様、学生にどのような教育をすればよいのでしょうか?
望ましい姿
望む姿? がそもそも相手自身にもわかっていない場合があります。ということは、療法士は相手(学生、患者様またはご家族)に、その望む姿に気付いてもらう支援ができなければならない。ということではないでしょうか?
注意が必要なのは療法士が思う相手に望む姿です。相手の望む姿なのでしょうか?…考えさせられます。
身心両面
1つの職種だけで理想的な身心両面の機能の向上は難しい。特に患者様には他職種が連携し、それぞれの視点から、関わることが必要です。
学生に対しても同様です。専門的な内容は同じ職種から教育される必要がありますが、社会人として求められていることは、どの職種でも良いです。
意図的、計画的
ここが重要です。「教育」について、幼稚園~高校の教師は、統一された教育要綱がありそれに沿って計画的に指導します。
- 「教育」そのものの概念は同じ。
- 答えを教えるというよりは、ある目的を対象者自身で遂行できるように支援する。
- 対象者の考えが広がるように、アドバイスを行う。
現在療法士をしている元教師
療法士の場合は患者様の目標に合わせ、能力を評価し訓練計画をたてます。すすめる際は、他職種と協議し、必要な支援を決定していき患者様・ご家族にとって、現実的に最良の方法をとります。
学生への教育は職種によっては統一された指導指針をもとに学生の能力に合わせた指導を計画的にすすめます。
学生の教育について教師と療法士は「教育」という同じ概念もと、ある程度統一された指導指針(教育要綱)をもとに相手の能力に合わせて必要な支援を行うところで共通ですが、重要なある部分が異なります。
能力を伸ばそうと試みる
大部分の療法士は教師と同様、患者様に対し能力を伸ばそうと試みます。それを専門職の使命としているからです。最近はなぜ自分が療法士をしているか分からない人がいるようですが… ←それはまた別の機会にお話しします。
しかし、学生への教育について、教師とは異なります。学生や後輩を育てるという考えを根本的に持っている人が少ない。役割として認識していない。そんなこと、養成学校で触れることは少ないですし、就職先で様々です。
そのため、学生の能力に合わせて能力を伸ばそうと試みる方法について、せっかく指導指針がある職種でも、自分の考えや専門技術を一方的に指導したり、学生が到達すべき水準の判断ができない雑な療法士が多いです。患者様にできることが、学生対してはできないです。
教育のある療法士とは
ここまで読んで、あなたはどう思いますか? 簡単に答えは出ませんが、私は…
- 患者様、ご家族、学生、後輩に対して、
- 自身の役割を明確にして
- 相手が本当に思う現実的な目標を引き出し、
- 相手の能力に合わせた指導を、
- 自分以外の人や他職種に相談しながら、
- ある一定の指導指針を参考にし、
- 計画的にすすめる。
- 結果、相手の能力合わせた能力が伸びている。
これが、教育のある療法士であると考えます。もちろん、専門技術については、どの専門家も日々勉強・技術向上が求められます。
職種を守る最大の武器
教育のない療法士が多い職種は社会認知の低下、社会からのニーズも低くなり、結果、必要なくなります。どうなるか…
極端ですが、療法士の場合は、診療報酬が下がり、他の職種にその診療報酬があてられ、その専門職は衰退化していくのではないでしょうか? 最悪仕事がなくなります。
私は、あなたと一緒に専門職の質を高めていき、我々の職種の社会的な認識を高めていきたいと考えています。