第17回日本言語聴覚学会の参加報告をうけ、私の視点(回復期~生活期、終末期、精神科領域)から思ったことを投稿します。
2-5-09 回復期リハビリテーション病院におけるリハビリテーション専門職と職業性ストレスの関係について ~バーンアウト群と非バーンアウト群の比較を通して~
- 総合病院に勤務する理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)を対象に調査
- 各項目とバーンアウト(=燃え尽き症候群)/非バーンアウトに相関があるか?
- 相関あり
- 朝食摂取
- 相関なし
- 経験年数
- マンパワー(=Stの少なさ)
- 作業療法士(OT)のバーンアウト率(=燃え尽き症候群)が高い
- 技術の活用度
- 働きがい
日置久視(日本聴能言語福祉学院補聴言語科)
指定演題やセミナーではないですがこういった口頭演題の発表には非常に関心があります。なぜなら
- 人を育てる立場になったから
- 職場でのストレスチェックが義務化したから
- 私自身うつっぽく、バーンアウトした経験があるから
人を育てる
管理職となり職種を問わず新人療法士(PT/OT/ST)の面談や指導を中心に考えさせるられることが多くあります。理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)よりもバーンアウト率がより高い作業療法士(OT)の職について言語聴覚士(ST)の私も理解してあげる必要があると感じます。
またどのような職場でも3年以内に辞める方が多いです(私も経験があります。)
私の場合は就職活動の際には感じていなかった自分の未来に気づき「そうなりたくない!」と強く感じたことが辞めるきっかけになりました。仕事の「楽しさ」や「やりがい」よりも「不安」や「辞めたい」という負の感情が強くなったのを覚えています。当時そうならない工夫をしてくれる上司に巡り合うことはありませんでした。
私は学生によく言います。「何で療法士(PT/OT/ST)を目指してるの。もっと他の仕事あったでしょ!?」学生が本心を切り出すまで続けます。うっとうしいですね。
もちろん実習は療法士の面白さを実習で体験させることを中心に、そして仕事を面白くさせるのは「学生自身だ」と言うことを気づかせるようにしています。どんなに魅力的な仕事でも(超ブラックな職場以外)辞める原因に至る過程に自分の思考が影響しています。辞める方の大半は
- 「楽しみ」を自分で見いだせない
- 他人任せ、つまらないのは上司の責任
- 自分の仕事について理解できていない
事が多い傾向にあります。
療法士(PT/OT/ST)は国家資格なのでとりあえず勤務先を選ばなければ就職に困ることはほとんどありません。だから、「合わない」と感じたら辞めればいい。でも、「合わない」と感じた理由の多くが「自分にある」と気づいてほしいです。「辞める」ことは自分の人生だから自由ですが、「患者様」にとっては人生の岐路に立たされている時期でありあなたを信頼している分辞められると負担が大きいからです。ぜひ次の職場では辞めずにすむ道を進んでいって欲しいです。
新人教育で私が力を入れているのはどんな仕事でも自分自身で「楽しみ」を見つけられるようになる思考を育てることがです。これが出来るようになった新人はもう心配いりません。「辞めたい」と言っていた新人ももうみんな大丈夫です。職場で負のレッテル(療法士からも病棟スタッフからも)を張られ今にも辞めそうになっていた7年目の後輩も再学習して理解できたのでもう大丈夫です。
今回のテーマとやや話がずれていますが…何かありましたご連絡をいただければと思います。
ストレスチェックの義務化
国の政策です。うつ病(双極性障害)、自殺などに至るリスクのある精神病の原因の一つに職場でのストレスが上がっています。その為、国がそれを予防するために会社(雇用者)は職員(被雇用者)に対しストレスチェックを行って事前にリスクを減らしなさい。職員に自分の状態を知ってもらいなさい。という目的で始まりました。
私も実施ましたが、職場でのことだけでなくプライベートの事も質問項目にあり…上司の事も項目にあり…臆することなく正直に解答しました。もちろん、回答は「医師に相談しますか?」でした。これだけ業務量が多くてはストレスがない方がおかしい。プライベートでも子供がイヤイヤ期で腹が立つ。結果はしなくてもわかっていました。
でも、やってみて良かったのは記入しながら、それを事実として受け入れ解決しなくてはと一歩進む努力ができること。自分自身の事がよくわからない人でも、無意識に自分に偽って回答してしまっている方も項目に対し
- 自身で考える
- 振り返る機会がある
のでそれはそれで国は目的を果たしている。さえない上司に相談するより定期的にストレスチェックをやった方がいいくらいです。以下は厚生労働省が配布しているアプリです。興味のある方はパソコンにインストールしてはいかがでしょうか?
私のバーンアウト(=燃え尽き症候群)体験記
中学校の時、結構優秀で上から10番程度でしたが、志望の高校には入れたことで燃え尽きてしまい、高校では気づけば下から5本の指に入る学力でした。大学に行きたいわけでもなく、志望校に入りたいだけ(親族から強く勧められここに入ることが常識と洗脳されていた)であったため、勉強を頑張る理由が分からなくなっていました。これが第一のバーンアウト。
これからの社会は安定だ!と公務員を目指し試験を受けに行って眼にしたのは、高校の時代、成績が特に優秀だった知り合い。こんな人たちがぞろぞろいるところで簡単に公務員試験に通るはずがない。あんなにも勉強しましたが、燃え尽きてしまいました。これが第2のバーンアウト。
第3のバーンアウトは入社から5年間ずっとです。療法士は皆若く管理職が変わることはまずないと感じた時から心に闇ができてしまいました。ずっとこの人が私の上司か…。
- 言語聴覚士(ST)について理解の無い上司
- 精神的に追い詰めてから飴を出す上司
- 職場をプライベート空間と勘違いしているかの行動をする上司
今、思い出しても反吐が出ます。5年目くらいまではなんのために働いているかなんて考えることができない日々。そんな腹の立つ上司は問題を起こし降格・左遷されました。それ以降すごい速さで部署の空気は良いものと変わっていきました。
3つのバーンアウト(=燃え尽き症候群)に共通するのは「やりがい」や「達成感」よりも「現実に起こりそうなのは魅力のない未来」「今の頑張りが叶えられない未来」をイメージしやすい状態であったこと。軽いうつなんて誰だってなりますが、放っておくと取り返しのつかないことになります。職場だけでなくプライベートを楽しむ意欲もむしばまれます。
私の職場での作業療法士(OT)の活躍はすごいと思います。「技術の活用度」「働きがい」が低いなんて思いません。私が所属する組織のトップが作業療法士(OT)だからかもしれません。日置久視先生が研究の対象とした総合病院の作業療法士(OT)さんの環境はどういったものなのでしょうか? 気になります。
左遷させられた上司の一言から学んだこと
「精神病やうつ(双極性障害)なんて私たちは作ることができる」自信をもってこんな発言をしていますがただのいじめっ子の発想です。むしろ精神について専門家の療法士がその知識を持って上記のような発言をするなんて…実際、辞めてしまう人、うつになってしまう人を出している現実を見るとパワハラ以外考えられません。だから降格・左遷されたのですが…。
「精神病やうつ(双極性障害)なんて私たちは作ることができる」の逆を考える。正しいかかわりをすれば、「職員が精神病やうつにならない状況を作ることができる」私はそう考えました。実際にいろいろ調べ実施しました。考えるのは簡単でも効果があることを実施することは難しいのが現実でした。
自分のうつっぽい状態を解決する方法や他者を育てるうえで効果的な方法を知りたい時に、このブログの管理人さんと出会いました。左遷された上司に感謝することはストレスやうつについて真剣に考え、それに対処したり、それで悩んでいる方の力になれるような技術や知識を得ることのきっかけを作ってくれたことです。