急性期の失語症リハビリテーションにおける言語聴覚士(ST)の役割

第17回日本言語聴覚学会の参加報告をうけ、私の視点(回復期~生活期、終末期、精神科領域)から思ったことを投稿します。

急性期の失語症リハビリテーション

  • 今後の見通しを立てる
    • 回復期で失語症リハビリテーションを継続するか?
    • 急性期で失語症のリハビリテーションを終了するか?
  • コミュニケーション方法の確立
  • ご家族や本人への失語症について、その予後などについて説明し納得を得る

大畠明子先生(国立循環器病研究センター )

国が推奨する入院日数がどんどん短くなっていく昨今、上記の事を行うのは「大変」としか言いようがありません。しかしそれが「現実」であり急性期で働く言語聴覚士(ST)の「使命」です。

「今後の見通しを立てる」「本人に納得してもらう」ところは特に難しい。その理由は…

一般的には極軽度の失語症を患う方の訴え

最初にこの掲載にご協力を頂いた「ある失語症を患う方」へ感謝します。

  • 周囲から何も変わっていないと言われるがそんなことはない。
  • 私にとって重い病気である。
  • 病気をしたときは覚えているが急性期病院に入院していたことは忘れてしまった。
  • 急性期病院にいた時は「治る」と思っていた。
  • 仕事(営業)もできると思っていたが私が思う仕事レベルとはかけ離れている。

ある失語症を患う方

上記のような訴え・思いを預かりました。私たちが臨床現場で使う重症度は主観的なものから客観的なものがあります。いずれにしろ患者様本人にとっては客観的に軽度だろうが、主観的に極々極々極々…軽度だろうが、「一生もとには治ることのない重い病気」なのです。

特に目指すところが「在宅生活」なのか「職場復帰」なのかで異なりますし。職場復帰でも「元の仕事内容」なのか「その職場でとりあえず働ける仕事内容」なのかで大きく異なります。

上記のように訴える失語症を患った客観的に軽度と言われる方々は非常に多いです。私は急性期について実習と入社当初の1か月の見学程度の臨床経験しかありませんが、今までの臨床経験から患者様本人に本当の意味で障害を納得してもらうことは不可能なのではないか? と感じます。

と、考えた時に、短期間の急性期入院中にご家族に失語症について理解をしてもらい、「今後」どうしていくのか? を一緒に考えてあげる必要があると考えます。一緒にと言っても限界があります。

責任逃れかもしれませんが「医師の指示のもと」かつ「ご家族への助言」レベルです。それを超えることは誰のためにもなりません。

結局、何をすればいいか?

上記のように訴える患者様はすべてと言っても過言ではありませんし、そのご家族も専門的な事は身内の発症を機に知った素人と考える最低限伝えるべき内容とその対応は決まってきます。(理想論も入っています。)

  • 今後起こるというよりは、本人・ご家族が失語症の症状に徐々に気づいていく。ことの重大さに今は気づけていないだろうということ。
  • 失語症を患った方、ご家族を含むその周囲の方の生活に及ぼす予測される最大値を伝えたうえで考えられる選択肢を具体的に理解してもらう。
  • 次のステップ(在宅、職場、回復期など)で失語症を患った方とかかわる方々へ正確な情報を提供し、可能な限り失語症の症状を理解してもらう。

急性期のとても短い入院日数でこれらを行うことは難しい印象です。ですが、これが急性期における言語聴覚士の使命なのだと学会の報告を受け考えさせられました。まずは言語聴覚士として信頼関係を築くところがポイントになりそうです。

おすすめの書籍

一般の方にも理解しやすい書籍を紹介します。
↓まずは導入。一般な方には失語症と言う信じられない症状を時にコミカルに分かり易く伝えてあります。言語聴覚士の立場からはなかなか伝わらない内容がこの本からは読み取ることもできます。

ウチの失語くん: 脳出血からの1年半。ふたりだからできたこと。


↓生の声がレビューからも伝わってきます。一般の方以上に言語聴覚士は知っておいたほうが良いと感じます。

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↓これは私が学生の時に使っていた教科書の改訂版です。イラストが多く文章を読むのが苦手な方、説明がうまくできない方、一般の方にとって大変役に立つと思います。新人の頃、ご家族説明の際、私もこの本にはお世話になりました。堅苦しい言語聴覚士の言語障害の教科書の参考書、入門書として活用することも、失語症だけでなく言語障害全般の理解を深める土台の知識を得ることができる良本です。

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